大阪高等裁判所 昭和62年(ネ)324号 判決 1987年12月16日
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一 申立て
一 控訴の趣旨
「原判決を次のとおり変更する。被控訴人らは控訴人に対し、各自金一二四八万五四〇二円及び内金一一四八万五四〇二円に対する昭和五五年七月二五日から、内金一〇〇万円に対する原審口頭弁論終結の日の翌日から各完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一、二審を通じ被控訴人らの負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求める。
二 控訴の趣旨に対する答弁
主文同旨の判決を求める。
第二 主張
次のとおり付加、訂正するほか原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決三枚目裏末行の「損害」、同四枚目裏八行目の「損害金」の次に「のうち昭和六一年四月末日までの分」と各付加する。
2 同五枚目表七行目の「否認する。」を「2の(一)を認め、その余を否認する。」と改める。
第三 証拠(省略)
理由
一 次のとおり付加、訂正するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決八枚目表五行目の「総すれば、」を「総合すれば、」と、同裏三行目の「本件事故による」を「これに本件事故による」と、同九枚目表五行目の「傾向ある」を「傾向にある」と、同七行目から八行目にかけて「右鑑定結果中および」とあるのを「右鑑定をした医師である」と、同八行目の「更なる」を「更に」と、同末行の「ところで、」を 「しかしながら、」と各改める。
2 同一〇枚目表九行目の「一九〇万円」を「二三〇万円」と改める。
3 同一〇行目から末行にかけて「二三四九万二三一円」とあるのを「休業損害一九九七万六七六七円、その他の損害計三九一万三四六四円」と改める。
4 同一〇枚目裏初行ないし三行目の「甲第五号証の一一」以下「七ないし一〇」までを「甲第五号証の一一、第七号証の二、三、一七ないし二一、第八号証の一ないし四、七、九ないし一一、」と、同九行目の「右交差点を南進し」を「右交差点に向かつて南進車線(西側)を時速約三〇キロメートルで進行し」と、同一〇行目の「中央分離帯から」を「交差点において」と、同末行の「進行しつつ」を「右折進行し、」と、同「同分離帯内で」を「同交差点内の中央分離帯の切れ目中央付近にさしかかつた際、」と、同末行から一一枚目表初行にかけて「進行してくる」とあるのを「時速六五ないし七〇キロメートルで進行してくる」と、同一一枚目表二行目ないし五行目の「被告車は」以下「予測し」までを「被告車の走行速度並びに被告車までの距離からすれば、」と、同末行の「制限速度」を「時速五〇キロメートルの制限速度」と、同一一枚目裏二行目の「原告車の動向を注視せず」を「交差点の手前五〇ないし六〇メートルの地点で右斜め前方に自己進行車線を横断して西進しようとする原告車を認めながら、原告車が停止または徐行して避譲してくれるものと軽信し」と各改め、同四行目の次に改行して「以上のとおり認められ、これに反する前掲甲第八号証の四、七、九及び原審における控訴本人の供述の一部は直ちには採用することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。」と付加する。
5 同一一枚目裏五行目の「原告に」以下九行目末尾までを「控訴人に六割、被控訴人田辺浩之に四割の各過失があるものというべく、したがつて過失相殺として、控訴人の損害額の六割を控除するのが相当であり、本件事故による被控訴人らの賠償額は、前項認定の損害額の四割、すなわち、休業損害七九九万七〇六円(円位未満切捨て、以下同じ。)、その他の損害一五六万五三八五円となる。」と改める。
6 同一二枚目表五行目以下を次のとおり改める。
「したがつて、前項認定の休業損害七九九万七〇六円は右2の労災保険給付(休業給付)により、その他の損害一五六万五三八五円は右1、3の合計二七〇万円の支払いにより、いずれも全額補填されたものというべく、控訴人の本訴請求はこの点において理由がない。なお付言するに、労災保険給付(休業給付)の趣旨は労災事故による被災労働者の稼働能力喪失に基づく損害の填補を目的とするものであるから、損害賠償の一般法理により、過失相殺をした後に右給付の控除をすべきものと解するのが相当である。」
二 以上のとおりであつて、控訴人の本訴請求はこれを棄却すべきものであり、本件控訴は理由がなく棄却を免れない。また、これと異なり一部認容した原判決はその限度で相当でないが、控訴人のみが控訴した本件において原判決を控訴人の不利益に変更することは許されないところである。
よつて、民訴法八九条に従い主文のとおり判決する。